山田ルイ53世の本

昨日は休日出勤で明日は出勤。疲れていて、どこにも出かける気がしない。

家でじっとしている。Amazonで本を買った。 

ヒキコモリ漂流記

ヒキコモリ漂流記

 

 山田ルイ53世(以下 山田さん)の今ままでの経歴が書かれている。

 

簡単に内容をまとめると

小学生の時は近所では評判となるぐらい優秀で、短い勉強期間で地元の名門・六甲学院中学に進学。

長くてしんどい通学に耐えつ文武ともに優秀であったけれども、中学2年の時の夏休み以降不登校・ひきこもりになってしまう(不登校になった経緯の詳細は本文。面白い)。その後は中途退学。

実家の近所でアルバイトしたのち、独学で勉強、大卒検定を取得し愛媛大学法文学部の夜間コースに入学。

愛媛大学も失踪のような形で中途退学し、上京し芸人を目指し、一度は大成功するも・・・

 

 

挟まれているエピソードもそれぞれ面白い。読みやすい文章で数時間で一気に読み終えた。

本文にもある通り、子供の頃は優秀で、ろくな指導がない中、短期間の受験勉強で名門中学に合格したとのある通り、知識の多さや頭の良さが文書にも現れている。

僕が働いていたコンビニでは、営業時間中、延々とひっきりなしに、ノンストップで「有線」が流れていた。チャンネルの都合なのか分からないが、その有線では、当時のヒット曲がガンガン流れてくる。若者に向けての、恋愛ソングや、ポジティブなメッセージが込められたヒット曲の数々……これが辛い。ポジティブなメッセージの押しつけがひどいのである。

 こちらの状況などお構いなしに、「前向き」を押し付けてくるからたまらない。すべての人間に三河武士のような生き様を強要してくる。そもそもこちらは後ろを向いているのだから、背中越しに声をかけられるとびっくりするのである。

 

 

この”三河武士の生き方” なんかよく徳川家康なんかの伝記を読んでいるんだろうなという印象を受けた。

ここも好きな箇所だ。

アパートの一階部分、大家さんの家の玄関先で僕は半身外、大家は家の中、そういう状態でよく話をした。彼女は残された寿命をすべて趣味に使っていた。社交ダンスに麻雀、お友達との旅行、お菓子作り。こんなに遊び呆けている人間だ。どうせ年金もたんまりもらっているのだろう。それなのに、俺のようなこれからの若者がなぜ金欠に苦しまないと駄目なんだ・・・・・・まさに「ラスコーリニコフ」の心境だったが、家賃を滞納している手前、そのトークの時間を断るわけにもいかない

 

 

一番、印象に残ったのは「人生が余ってしまった」という言葉だった。本人には申し訳ないけれども、今の自分には少し羨ましいと思った。

今31歳で五体満足。数年間は働かずに済む蓄えはあり、どこかに就職もできる(はず)。この「人生が余ってしまった」境地に至ればすぐに「楽」になれるはずだと思った。

山田さんほど優秀ではないが、自分もお受験をして、私立の中学高校へ進学した。中学高校の成績は良くなかったが、一浪してそれなりに良い大学に就職し、それなりに良い会社へも就職できた。けれども、うつ気味になって転職した。転職先も企業としては決して悪くない。だが、もう疲れ切ってしまった。(まだ、会社に行っているということは疲れ”切った”わけではないかもしれないが)

 

自分はプライドの高さというのも心にこびりついており、なかなか落ちない。コンビニバイトや中卒・高卒の人間を”下”に見てしまう。NHKのドキュメンタリーに出てくる”底辺層”をみて安心してしまう・・・。

 

後、蛇足だけれども 山田さんに共感するのは、通学中のう○この話だ。

ある日の通学中に急激な腹痛があり。トイレに駆け込んだが個室の空きがなく、我慢して変な汗まで出てきた。我慢できずに、障害者用トイレにベルトを緩めながら駆け込み、ぶりぶりとしていたところ、扉が開き知らないおっさんと目があって気まずい思いをしたことがある。急ぎすぎて鍵を閉め忘れていた。

当時は30歳前後になってう○こ漏らすとは思わなかったけど。